もくじ

Chapter1

枠の有利不利,馬場状態とタフさ,基準タイムなどを数字を用いて説明しています.

Chapter2

騎手成績と得意戦法,また予想でかなり重要な騎手起用法について回収率と共に説明しています.

Chapter3

高知けいば名物の一発逆転ファイナルレースの基本的な予想方法と高回収率が見込める選抜戦の狙い方について解説しています.

Chapter4

分かりにくいクラス分けを逆手に取った昇級および降級までの賞金論について説明しています.毎週の予想のデータベースではこの賞金論を見やすくしたグラフを掲載しています.

Chapter5

ローテーションや転入初戦の成績を調教の有無から分析します.他地区からの転入馬が多いレースで役に立ちます.

Chapter6

ID地方競馬独自のタイム偏差値を用いた予想です.少々複雑ですが安定した収支が見込める買い方です.

6. ID地方競馬流の高知けいば予想法

本章ではこれまで多く語らなかった,著者の高知けいば予想法について簡単に紹介した後,多くのデータ分析の中から高い回収率を安定して得られる予想法,シンプルに言えば儲かる話として「タイム偏差値メソッド」を紹介する.

6.1. 著者の予想スタイル

多くを語らなかったというより,多く語ることが無いというほうが正しいかもしれないが,何かの参考になれば幸いである. まずここまで教科書に示してきたデータは全て自ら集計し計算したものである.集計および計算にはExcelVBAを多く用いているが,構文は素人そのものであり,あくまで道具として利用している. 得意とする部分は手に入るデータを有益に加工する点であり,次節で紹介するタイム偏差値や賞金論,また馬場の傾向やテン速さからの展開予想などが得意である.それゆえ逃げ先行有利の日を非常に得意としており,馬柱からは見えてこない逃げ馬を見抜くことが出来る. 騎手起用法も分析対象であるがここは基本的に儲かる話が少ないため,最近はさほど重要視していない.前走の馬場に対する有利不利は新聞の印等に反映されやすいため,これの計算も今は中止している.一方タイム偏差値による分析は馬柱に現れない6走前までを対象としている. 以上はデータを収集しておけばボタン一つで出力される結果であり,予想に掛かる時間はかなり短い.出力された展開予想図,タイム偏差値グラフ,賞金から数頭を切り捨て,内外,馬場のタフさ,脚質,ペース…などから大幅な下げ要素の無い馬を選択する.その際オッズはさほど気にしない.以前ブログに書いたが期待値の計算は非常に曖昧であるため,買わないより買うことでメンタルを安定させることを重要視している.

6.2. タイム偏差値メソッド

前節でも触れたタイム偏差値メソッドの概要を説明する.この手法は,精度の高いタイム指数と考えてほしい.走破タイムを指数化したものがタイム指数とすると,走破タイムがどの程度凄いのかを数値化したものがタイム偏差値である.詳細は次節以降で解説するが,このメソッドで必要なデータは走破タイムのみである点が誰でも無料で実践できるという意味で重要である.しかしながらある程度の計算が必要であるため,Excelが使用できる環境が望ましい.また一部に統計で使われる専門用語があるが,すべてを理解する必要はなく予想の道具と思って構わない.

6.3. データ収集

タイム偏差値を計算するためにはExcelを用いるのが望ましい.データはどのWebサイトからでも構わないが,keiba.go.jpが最も扱いやすい.競争成績のページをコピー&ペーストを繰り返して結果の一覧表を作成するか,可能であればWebクエリで自動化することが望ましい.このメソッドでは各馬6走前までのタイムを計算で使用するため,およそ3~4か月前の結果から収集すればよい.

6.4. 1F平均タイムと距離

高知けいばでは主に1300,1400,1600の三水準でレースが行われているため,これらをレース間で比較するためにタイムを1ハロンごとに平均化する.すなわち計算式は以下のようになる.
例えば1400mを1:30:0で走破した場合,1F平均タイムは90秒÷(1400m÷200) = 90÷7 = 12.86秒となる.なお短距離の方が早い1F平均タイムが出やすくなるが,1300mと1600mの1F平均タイムの平均値はおよそ0.1sの差であり,補正して計算する場合はその値を使うと便利である.

6.5. タイム偏差値

各馬の1Fタイムが計算されたら,この手法の肝となるタイム偏差値の計算に移る.偏差値の計算には標準偏差および平均値が必要となるが,着外のタイムは全力で走りきった可能性が低くなるため計算から除外し,1~5着の1FタイムTiを用いて1日12Rの平均タイムTdおよび標準偏差σを求め,その値から各馬の偏差値を以下の式で計算する.
通常であれば平均1Fタイムをそのまま比較することで力関係を把握すれば良いと考えられるが,偏差値として計算するメリットは馬場差を考慮することなく,その馬の実力が測れる点である.偏差値を順位付けすることにより,その日に何番目に強かったかが把握できる.同タイムの2頭が,それぞれ馬場が軽かった日とタフだった日に走っていたのなら,タフだった日に走った馬が優秀であるが,その馬場のタフさの定量的判断が不要となる.
一方デメリットとしては,当日の降雨による馬場の変化で計算の手間が増える,またその日のクラスが高いか低いかで評価に影響が出る可能性がある点である.例えば全レースA級の日でも全レースC級の日でも偏差値的には優秀な馬が一定数現れるが,当然ながらA級のほうが強くなる.考慮した計算も可能であるが,実用上は気にするほどの影響が無かったことを記しておく.

6.6. 偏差値順位と回収率

計算された偏差値を予想に用いるときには,そのレース内で順位付けをすると便利である.また前走の偏差値とそれ以前の偏差値で順位付けをすると,それぞれに役割を与えることが出来る.前走偏差値は最近の調子,それ以前の偏差値(著者は2~6走前を近走偏差値として取り扱う)は馬柱に埋もれた真の能力として評価することが出来る. Table 6-1.に前走および近走偏差値順位と回収率の関係を示す.なお転入馬が居るレースは比較できないため除外した.偏差値順位が低い組み合わせにおいて単勝回収率が100%を超える点があるが,的中率が低いため現実的ではない.近走偏差値順位が高くかつ前走偏差値順位が5位以内の組み合わせで,安定して90%後半の回収率が得られている.
Table. 6-1. 前走および近走偏差値順位と回収率の関係
この手法は能力がある馬を見抜くことが目的であるが,肝心のレースで発揮してくれなければ無意味である.そこで比較的各馬真面目に走るだろう上級クラスを対象に回収率を検討する.さらに通常では予想が困難な選抜戦を対象に絞込みを行った.その結果が以下の表である.前走および近走順位が1着の馬で単勝回収率が114%となった.当然ながらこの手の馬は人気もあるが,安全な人気馬を見抜く手法として活用できる.繰り返しになるがこの方法は1~6走前のタイムから導いたものであり,他の数値は一切使用していない.騎手,馬体重,調教,当日の馬場状態,枠…など通常の予想で考慮する点を加えることで,より高い回収率を得ることが出来るだろう.
Table 6-2. A,B級選抜における偏差値順位と回収率の関係
近走偏差値が活かされた一つの的中例を紹介しておく.2019/1/6のA級選抜戦はバーントシェンナの勝利で単勝75.8倍の波乱であったが,近走偏差値を考えると十分通用する能力があることが見抜けるはずである.このように不当に人気を落とす馬,あるいは騎手を見抜くことが出来るのもこの手法のメリットである.さらに偏差値は似たり寄ったりであるのに騎手で売れる馬も多く,これも同様に判断することが出来るだろう.
Table 6-3. 2019/1/6 11Rの結果: 単勝7580円
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