もくじ

Chapter1

枠の有利不利,馬場状態とタフさ,基準タイムなどを数字を用いて説明しています.

Chapter2

騎手成績と得意戦法,また予想でかなり重要な騎手起用法について回収率と共に説明しています.

Chapter3

高知けいば名物の一発逆転ファイナルレースの基本的な予想方法と高回収率が見込める選抜戦の狙い方について解説しています.

Chapter4

分かりにくいクラス分けを逆手に取った昇級および降級までの賞金論について説明しています.毎週の予想のデータベースではこの賞金論を見やすくしたグラフを掲載しています.

Chapter5

ローテーションや転入初戦の成績を調教の有無から分析します.他地区からの転入馬が多いレースで役に立ちます.

Chapter6

ID地方競馬独自のタイム偏差値を用いた予想です.少々複雑ですが安定した収支が見込める買い方です.

Chapter7

種牡馬の特性を見える化しました.

2. 騎手と調教師

2.1. 有力騎手

高知けいばにおいて馬券を当てるために最も重要なファクターの一つが「騎手」である.技術の差のみならず,起用法から厩舎陣営のやる気が推測できるためである.以下の表は2019年の高知競馬所属騎手の勝率および連対率である.1,2位と下位では連対率に数倍の差がある一方,上位の騎手を買っても人気があるため高い回収率には繋がらない.当てるという観点からは上位騎手を外しにくいが,回収率を考えると騎手買いは避けるべきである.しかしこの騎手だから買わない,という作戦は有効である.
Table 2-1. 2019年高知競馬所属騎手成績

2.2. 得意戦法および内外の選択

騎手の成績は数値化され様々な場面で目にされるが,得意な戦法などは数値化されたものを目にする機会は少ない. Table 2-2に騎手の勝利数と戦法を示す.全レースの割合と比較することで,各騎手の得意戦法が見えてくる. 上位騎手では永森,赤岡両騎手は番手折り合いの競馬が多い一方,宮川騎手は逃げでの勝利の割合が多い.また追込みのイクでお馴染み倉兼騎手の追込み勝利数も割合として高い.また妹尾将充騎手,濱騎手は減量を活かして逃げ切りが多かった一方,多田羅騎手は戦法に関わらず満遍なく勝利しており,技術の高さがうかがえる.
Table 2-2. 2019年における戦法と勝利数
そのほかの重要な特徴として,勝負所において馬場の内外の選択が挙げられる.実力拮抗のメンバーにおいてはわずかな距離ロスが勝負を分ける一方,インコースが使える(砂が重くない)かどうかの判断を誤ると一切馬は伸びない.下記の表に各騎手の内外選択の割合をまとめた.但しその日の馬場状態については考慮していないため,馬場読みの能力が表現できるデータではなく,騎手の個性としてインを突くのか,外を通すのか,の目安となる.成績上位の騎手は基本逃げ先行であり極端に内外を通る必要が無いため,内も外も通ることが少ない.また成績下位の騎手はただ馬場を一周する事が多く,その場合は内を通ってくるためイン割合が増加する傾向にある.これらの要因を差し引くために,残り3F(600m)地点で先頭から0.1~1.0s以内を走っていた,という条件を追加した.すなわち先行,差し馬における結果である.上位騎手は馬場の中央を通るため内も外も数字は大きくならないが,林騎手の内選択数がかなり抜けている.佐原,郷間騎手あたりもイン突きをする競馬が多い.馬場の内目が使える日は積極的に狙うことができる.一方倉兼騎手や多田羅騎手はインの選択が少ない.
Table 2-3. 先行および差しにおける騎手の馬場内外の選択

2.3. 有力厩舎

予想において騎手よりも随分軽視されがちなのが厩舎である.以下に2019年の調教師成績を示す.調教師によってかなりの成績の差があり,リーディング下位の厩舎の成績は騎手のそれと比較して低い.下級戦においてはリーディング下位厩舎の馬が人気になるケースがあるが,馬券としては手を出さないほうが無難である.なお回収率は勝率上位だからといって高いわけではない.むしろ中位の厩舎の勝負気配を見抜くことが回収率アップへの近道だろう.
Table 2-4. 2019年の高知所属の調教師成績

2.4. 騎手起用メソッド起用法

以上の様に有力騎手および厩舎を把握したところで,「騎手と調教師の組み合わせ」について説明する.各調教師にはいずれも「勝負起用」が存在すると考えられる.例えば雑賀正光調教師であれば,永森大智騎手が勝負起用となる.基本的には所属騎手が勝負起用になるパターンが多い.この起用法をID地方競馬では「高知けいば騎手起用メソッド」と名付けてデータを公開している.本節では2019年の騎手起用法およびその成績を調教師毎に整理した.

・打越勇児厩舎: 主戦のみならずリーディング上位騎手は常に勝負気配

・雑賀正光厩舎: 主戦勝率高いが過剰人気,全体的に低回収率

・田中守厩舎: 赤岡騎手は高勝率も回収率は低い.他の騎手で狙う.

・工藤真司厩舎: 所属二人が主戦,多田羅騎手が大健闘

・別府真司厩舎: 多様な起用でリーディング上位へ.表外の人で勝負気配.

・松木啓助厩舎: 勝率低めも激走連発.いつの間にか主戦が林騎手に.

・大関吉明厩舎: 強めの調教で上位進出.西川,林騎手で狙える.

・田中譲二厩舎: 騎手起用以上に勝負感がにじみ出る厩舎.

・那俄性哲也厩舎: 所属騎手で回す.やっぱり主戦は佐原騎手.

・目迫大輔厩舎: いざ躍進の年へ.佐原騎手はカネトシピュール分?.

・國澤輝幸厩舎: メリハリのある起用法.勝負は永森騎手.

・細川忠義厩舎: 勝負起用が不発.倉兼騎手替りはそれほど儲からない.

・川野勇馬厩舎: 岡村騎手起用が急増と共に回収率が急低下.復調待ち.

・中西達也厩舎: 少数精鋭.おじさん起用が勝負の時.

・宮路洋一厩舎: 起用法は明確.上田騎手からのスイッチ狙い.

・宮川浩一厩舎: 兄弟コンビが大不調も複勝率は高め.まだ見限れない.

・平和人厩舎: 目立つ上位厩舎からの転入.見限れない難しさ.

・東原己俊厩舎: 存在感薄いがしっかり仕上げる.人気で信頼.

・胡本友晴厩舎: 今年は低調.岡村騎手起用が過剰人気に.

・田中伸一厩舎: 雑賀厩舎の2軍チーム.買いたくなる不思議な魅力.

・西山裕貴厩舎: 今後に期待の若い厩舎.馬券的には買いにくく.

・宗石大厩舎: みんな大好き大先生.20年はそれなりに走りそうな馬がいます.

 以上が各厩舎の起用数上位5騎手の成績である.起用数は多いが勝率が低い,勝率は高いが回収率は低いなど,勝負具合や過剰人気が一目で分かる.

2.5. 騎手起用メソッド乗替編

 騎手起用といえば新聞でも強調されることが多い乗替について考察する.例えば打越厩舎でいえば,妹尾騎手から宮川騎手へ乗替れば勝負の気配が漂うが実際に数値化したデータは少ない.本節では勝負起用騎手の続戦と比較して,乗替の方が強い勝負気配なのかどうか確認する.なお表は二つあり,緑背景は無条件で当該騎手に乗替った場合の成績であり,青背景は主戦騎手が絡んだ乗替である.打越厩舎で言えば,宮川騎手から誰かに乗り替わった時の成績が青背景の表である.

・打越勇児厩舎: 赤岡騎手へのスイッチが強く,妹尾騎手スイッチが低調.切替はっきり.

・雑賀正光厩舎: 続戦時より永森騎手が低調.転入戦の影響か.

・田中守厩舎: 狙いは赤岡騎手スイッチではなく赤岡騎手からのスイッチ.

・工藤真司厩舎: 明確なスイッチはなく.赤岡騎手スイッチは過剰人気.

・別府真司厩舎: 目立つ西川騎手スイッチ.主戦から主戦外は割引必要.

・松木啓助厩舎: 林騎手へのスイッチが意味を持つ.

・大関吉明厩舎: 多頭出しで騎手シャッフルが多く.基本は主戦重視.

・田中譲二厩舎: 乗替った勝負感がなし.騎手の特徴が活かされたら.

・那俄性哲也厩舎: 山崎→佐原は不発もその他→佐原騎手で発射気配.

・目迫大輔厩舎: 珍しめの起用が勝負のサインか.

・國澤輝幸厩舎: 起用数上位には意味のないスイッチが目立つ.

・細川忠義厩舎: 手替わり一発なら勝負起用にチャンスあり.

・川野勇馬厩舎: 勝負起用に変化あり?倉兼騎手スイッチに意図がみえる.

・中西達也厩舎: 西川騎手起用で勝負気配が隠せない.同級生の絆.

・宮路洋一厩舎: 出番の多い騎手たちはほとんど馬券の出番なし.この表に居ない人たちで狙う.

・宮川浩一厩舎: 実騎手への乗替がハマりきらないが複勝率は一番.今年も注目ライン.

・平和人厩舎: 際立つ赤岡騎手起用.若手二人では調整レース.

・東原己俊厩舎: 主戦の西森騎手は乗鞍が多いが勝負は別.

・胡本友晴厩舎: 乗り替わりに強い意図は見えず.不振脱出を目指したい.

・田中伸一厩舎: この表に出てくるメンバーは基本全切り.無理に買う必要はなし.

・西山裕貴厩舎: 倉兼騎手が良績も回収率が低く.ダブル将司は切り.

・宗石大厩舎: 今年も見つからない攻略法.馬と同じように馬券も無理追いせず.

2.6. 騎手起用メソッド多頭出し編

多頭出しとは1レースに一人の調教師が複数頭出走させることを言う.当然ながら勝つ馬は1頭であるから,厩舎の中ではどちらの馬に期待するか…という意図があるはずである.この厩舎のやる気具合を騎手起用から探るのが,騎手起用メソッド多頭出し編である.Table 2-5に調教師ごとの多頭出し成績を示す.ここでいう勝率,連対率および複勝率については多頭出し中の一頭が1~3着になった割合であり,2頭出しで1,2着の場合は連対率200%となる.上位4厩舎はかなり高い割合で少なくとも一頭が圏内に入る一方,別府厩舎は多頭出しの積極敢行も複勝率まで低く,あまり勝負気配のない多頭出しとなる.下位厩舎に目を移すと,通常時の成績よりかなり高い厩舎が多い.多頭出しは上位厩舎以上に注目する必要がある.
Table 2-5. 調教師ごとの多頭出し敢行レース数と成績
 多頭出しにおいてどの馬が勝負気配かを見抜くために,多頭出し時における主戦騎手+サブ騎手の成績を一覧として示す.基本的には主戦騎手が優先であるが,よりリーディング上位騎手を擁した多頭出しにおいては成績が逆転する.分かりやすいパターンも多いので頭に入れておきたいデータである.  なお各厩舎の全多頭出し騎手起用とその着順については巻末付録として付属する.大まかな傾向を把握するのに役立ててほしい.
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